今年は「ねじれ国会」のため、例年ですと前年度の12月に自民党より発表された大綱がそのまま承認されていたのですが、 今年の3月まで大きな修正が加えられることとなりました。
結果として平成16年度税制改正における「不動産譲渡損失(一定の居住用除く)の損益通算廃止」や、平成18年度税制改正における「特殊支配同族会社の業務主宰役員給与損金不算入」といった色々物議をかもしそうな改正はなく無難なレベルに収まった気がいたします。以下、概略を説明させていただきます。
(法人税制)
1.地域格差の解消(法人事業税の改正、地方法人特別税の創設)
①法人事業税の改正・・・ 平成20年10月1日以後に開始する事業年度から、法人事業税(所得割及び収入割)の標準税率が改正されます(以前の約半分ほどの税率になります)。
地方法人特別税・譲与税の創設・・・税体系の抜本的対策が行われるまでの暫定措置と致しまして、法人事業税の一部を分離し、地方法人特別税及び地方法人特別譲与税を創設することにより、偏在性の小さい地方税体系の構築を進めます。
2.研究開発税制の見直し
現行の試験研究費の総額にかかる税額控除以外に、試験研究費を増加させた場合と売上高に占める試験研究費の割合が一定の水準を超える場合のいずれかを選択して適用できる税額控除制度が新たに創設されます。
3.情報基盤強化税制
情報基盤強化税制につきまして、部門間・企業間で分断されております情報システムを連携させるためのソフトウェアが対象に追加されることになります。また、中小企業に係る投資最低限度額が大幅に引き下げられます。
4.中小企業・ベンチャー支援に関する税制
①人材投資促進税制の拡充・・・教育訓練費が増加した場合の特別税額控除について、対象を中小企業者に限定し、単年度の教育訓練費が一定水準を上回っていれば税額控除が適用できる制度が創設され、平成20年4月1日に開始する事業年度から適用されます。
②
エンジェル税制の拡充・・・今回の改正により譲渡益の1/2課税等の特例が廃止されましたが、投資時点での優遇措置として平成20年4月1日以降に個人
が、対象となるベンチャー企業に投資した場合1,000万円を上限に寄付金控除の対象とする制度が新たに創設されました。
5.特例の期限延長
以下の中小企業に係る特例の適用期限が2年間延長されました。
・中小企業投資促進税制
・交際費課税における中小企業の支出交際費400万円までの部分の90%損金算入
・中小企業設立後5年間の欠損金への繰戻還付制度の適用
・中小企業の取得価額30万円未満の少額減価償却資産の一括損金算入特例
6.工事進行基準
工
事進行基準によるべき長期大規模工事の範囲について、工事期間要件が1年以上、請負金額要件が10億円以上に改正されました。また、損失が見込まれる工事
やソフトウェアの開発についても工事進行基準が適用されることとなりました。また、工事進行基準の適用により計上した未収金は貸倒引当金の設定対象に加え
られました。
7.減価償却制度
減価償却資産の法定耐用年数が見直され、それに伴い機械及び装置の区分が大括りとなって大幅に減少しました。この改正は既存の減価償却資産にも平成20年4月1日以後に開始する事業年度から適用されます。
(所得税制)
1.金融・証券税制
株式譲渡損益と配当所得の損益通算の特例が創設されました。また、軽減税率(平成20年末まで10%、本則20%)の存廃があります。但し、平成21年、22年は年間500万円以下の譲渡益及び100万円以下の配当については軽減税率10%が適用されます。
2.住宅関連税制
住宅の省エネ改修工事に係る住宅借入金等を有する場合の所得税額控除制度が創設されます。これは、増改築等に係る住宅ローン控除の適用対象にの省エネ改修工事が追加され、それとの選択適用になります。
(相続・贈与税制)
1.非上場株式の純資産価額方式における営業権評価の軽減
営業権の評価方法が改正されました。改正後の評価方法は以下の通りです。
(平均利益金額×0.5-標準企業者報酬額-総資産価額×基準年利率)
×営業権の持続年数(原則10年)に応ずる基準年利率による複利年金現価率
前年の所得金額を評価額の限度とする取り扱い及び超過利益金額が少額な営業権の価額は評価しないこととする取り扱いが廃止されました。
2.事業承継税制の拡充
①中小企業の事業承継の円滑化のため
・後継者が先代経営者から受けた生前贈与株式を遺留分算定基礎財産から控除できること。
・後継者が先代経営者から受けた生前贈与株式の評価額を予め合意時の価額として固定できること
が認められました。
②非上場株式に係る相続税の納税猶予制度
経
済産業大臣の認定を受けた「事業承継相続人」が、非上場会社のオーナー経営者であった被相続人から相続等によりその会社の非上場株式等を所得氏事業を相続
する場合には、その株式等に係る課税価格の80%に対応する相続税について一定の要件の下納税猶予されます。そして、事業承継相続人が納税猶予対象となっ
た株式を保有し続け死亡した場合には、納税猶予額が免除されます。